《報告》とうほくNPOフォーラムin仙台2022 分科会 C

開催報告

分科会C

ひとりでがんばらないための連携・協働の力

≪登壇者≫ 栗原 穂子 氏 特定非営利活動法人ぼらんたす 理事・事務局長
≪登壇者≫ 松原 明 氏 協力世界 代表
≪コーディネーター≫
高田 篤 一般社団法人東北圏地域づくりコンソーシアム 事務局長

当分科会では、複雑化する地域課題に対して、地域内資源としての「人」と「組織」が効果的にどう「連携」し、地域にどのような可能性を拓いていくのかについて迫りました。

栗原さんは、当時の鶴岡地区には無かった「ボランティア活動をする方向けの研修」の場を、社協と連携し開設しました。
その後「ノーマライゼーション社会実現活動(障がいがあっても安心して暮らせる地域づくり)」「自殺予防活動(こころを元気にするプロジェクト)」など数々の事業を手掛け、現在同時進行中の事業は14以上と多岐にわたり、そのほとんどが外部や地域住民との連携や協働によって行われていることを話されました。
事業を行う度に会員は増加し、それに伴い会員の職種は多様な広がりをみせ、今では農家や行政、医師や教員、弁護士など30職種以上の方が参加されています。

栗原さんが連携・協働で大切にしているポイントは?
他人任せにしない地域づくりに取り組んでおり、中でもぼらんたすは、地域住民を育てる場として、一方では地域のプラットフォームを目指す、といった志しのもと運営しており、当該事業は地域や年代を超えたごちゃまぜの場であることを上げ、ボランティアや地域のことを学ぶ場として、また「たすけて」を言える場として、多様な関わり合いや観点から互いがピアサポートにつながっている旨を話されました。

栗原さんの印象的な言葉として、「(ぼらんたすは)誰かの居場所でもあり、私自身の居場所にもなりました。同じ空間で楽しみながら学びや感動を共有していたら、いつの間にか人が集まってきて自然と連携・協働の力が生まれていきました」と話され、誰もが意識次第で出来る「経験と共感の養い」が事業運営の強い原動力につながっている内容に会場は感嘆とした雰囲気に包まれました。

松原さんは、
これからの地域社会の課題解決のコンセプトは、「官民連携」から「多者協働」に変化し、それに伴い連携・協働の形も変化していくとし、NPOの課題としてよく論じられる「人もいない、金もない、なので連携・協働できない」という課題はロジックそのものが間違っており、本来、連携・協働の力こそがNPOの源泉であり「連携・協働できないから、人も金も集まらない」というのが正しい、と述べました。その上で、これからのNPO活動には、行政や企業といった従来のステークホルダーだけでなく、目的を共有する個人や組織といった多様な単位のステークホルダーの参加と協力が必要不可欠であることを話されました。

まとめ
NPOに最も必要な「力」は「連携・協働」にある、といった点が終始伺える分科会でした。今や地域課題に紐づくコロナ禍の影響や経済の低迷、また人口減少等、高度で複雑化する社会的な問題に、ひとり(1組織)で挑み、また翻弄されるのではなく、もとよりNPOが大切にしてきた「人」の持つ力や「団体・組織」のつながり、そして、つながりの上で達成される課題解決への可能性を端から考慮するべき要点として学べたことが印象深く残りました。

 

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